講話 ・ 式辞

2022年3月の記事一覧

令和3年度第3学期終業式 講話

 皆さんおはようございます。年度のしめくくりに、こうして対面でお話しできることを大変嬉しく思います。体育祭以来ですね。学年末考査、入試、球技大会と学校が慌ただしく動いている中で、中院の枝垂れ桜が咲き始めるなど、ようやく春の訪れを感じるようになりました。

 さて、2か月間に渡ったまん延防止等重点措置が21日に解除されました。3月の感染状況を見る限り、新規陽性者数は減少傾向にあります。しかしながら、この一年で陽性になった本校関係者の数が50人近くに及んだ事実を考えると、まだまだ気を許してはいけない状況にあると私は感じています。一方で、この2年の間に繰り返し出されてきた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって疲弊する人たち、自粛に飽き飽きして外出する人なども増え始めています。自粛のお願い頼みの感染対策はもはや限界に来ています。こうした状況下で最も注意しなければならないのが、昨年のこの時期もそうでしたが、開放感によって人出が急激に増え陽性者が急増するリバウンドです。再び陽性者が爆発的に増えてしまえば、何らかの対策を講じざるを得なくなります。重点措置の解除は「すべての行動をコロナ前に戻して良い」ということを意味するわけではありません。これから先も、新型コロナウイルスとどう付き合ったら良いのか手探りが続きます。今しばらくの間は、これまでの生活を一変させることなく、手洗い、手指消毒、食事の際の会話禁止などを徹底し、基本的な感染防止対策を怠らない生活を続けていく必要があると考えます。

 今日は、北京オリンピックのスキー競技で解説をしていた上村愛子さんの話をします。今から12年前、平成22(2010)年の冬季オリンピックはカナダのバンクーバーを中心に開催されました。この時、フリースタイルスキーのモーグルに出場した上村選手は4位入賞を果たしました。メダルまであと一歩の順位でした。実は上村選手、その4年前のイタリア・トリノでは5位。その4年前のアメリカ・ソルトレイクでは6位。更にその4年前の長野では7位。一つずつ、一つずつ順位を上げてきてあともう少しでメダル。しかしそれは叶いませんでした。試合翌日の彼女のブログを紹介します。「どうして、どうして?こんなにも沢山の人が私を支えてくれるのに。なんで、私は結果を残せないんだろう。メダルはいつも、もうちょっとのところで届かない。今、こうやって文字にしながらも考えてしまいます。答えのない答えは、考えない方がいいのか。もしくは、開き直ったら楽になれるのか。昨日の夜は、色んなことを考え、眠れませんでした。オリンピックを夢見てオリンピックでのメダルを夢見てずっと戦い続けてきました。毎年、毎日、新しい考え方や新しい行動。色んな自分を発見してきました。自分のこうありたいと思う通りの自分。自分の嫌いな自分。成功した時の喜び。失敗した時の悔しさ、悲しさ。心が折れる時。また立ち向かう時。色んな自分と向き合い、スキーの技術の成長と同じように、自分自身を成長させることができました。オリンピックのメダルをとることは、自分自身に課していた責任でした。周りの方からの大きいな支援とご協力。それにお返しができるのは、やはり結果が全てだと、今も思います。(中略)私には、大きなプロジェクトを大成功に治める力は少し足りなかったけれど、そのための準備は万全 だったし、私たちの技術が世界一なんだ!と胸を張って滑ったことは確かです。」

 日本には「頑張れば何とかなる」、「努力すれば必ず結果がついてくる」、というニュアンスの、「努力」と「成果」はあたかもセットであるかのような教訓的な言葉がいくつかあります。しかし、どんなに努力しても、どんなに頑張っても、達成できないことなんていくらでもあります。上村選手のブログを読んでいて感じたことは、目標達成のための基準は『準備にベストを尽くしたのか』、この一点に尽きると思います。メダル獲得という目標は達成できませんでしたが、自らの競技人生をかけて必死に努力し続けたことに対して、賞賛を贈らない人はいないはずです。

 蛇足ですが、上村選手はこの4年後、5回連続でオリンピック出場を果たしたロシアのソチ大会でも4位。20年以上に渡った選手生活にピリオドを打ちます。引退間近のベテラン選手がメダル一歩寸前まで行ったことに対して再び賞賛の声が寄せられました。「準備」「努力」「成果」は必ずしも一致しませんが、一定の成果を挙げている人は、必ず自分と周囲が納得する、素晴らしい準備をしています。

 72日間の3学期は今日で終わります。あと2週間ほどで新入生が入学してきます。4月からスタートする令和4年度も、新型コロナウイルスとの戦いがまだまだ続くものと思います。目の前にある困難を一つずつ乗り越え、目標達成に向けた準備をしっかりと行い、これまで以上に素晴らしい川越総合高校を皆さんとともに築き上げていきましょう。

 一年間ありがとうございました。以上で講話を終わります。