講話 ・ 式辞

2020年8月の記事一覧

令和2年度第2学期始業式 校長講話

令和2年8月25日

放送室

 

令和2年度第2学期始業式 校長講話

 

 皆さんおはようございます。

 今年の夏は格別に暑く、8月11日には鳩山町で気温40度を超えるなど、お盆を過ぎても猛暑日が続いています。『命の危険に関わる暑さ』『熱中症警戒アラート発令』などの言葉を耳にする中で、県内では熱中症で亡くなる方も出ています。7月には局地的な大雨が全国各地で発生し、『観測史上最多の猛烈な雨』『これまでに経験したことのない大雨』という表現が、繰り返し使われました。異常気象や温暖化の問題を真剣に考える必要性を痛切に感じています。

 今日の始業式は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と暑さ対策のため放送で行います。みなさんの顔を、この場で見られないのが残念ですが、今日は、三つ話をさせてください。

 まず始めに、一学期の総括です。

 臨時休業の影響で授業時間数は例年より少なくなってしまったものの、生徒の皆さんが緊張感を持って行動し続けた結果、前年度と比べて出席率は向上し、のべ遅刻者数は大幅に減りました。また、評定平均4.3以上の成績優良者が100人を超え、皆さんがいかに頑張ったかを裏付ける結果になりました。授業や試験の様子を見ながら、これまでの日常と違った学校生活を皆さんが送っていることを実感しました。困難な状況においても力を発揮することができる皆さんの底力を垣間見た気がします。

 次に新型コロナウイルスへの対応についてです。

 このことについては、この8か月の間に色々なことを学びました。飛沫感染が多く、一部では接触感染も起きていること。日本では感染者10人のうち他の人に感染させているのは2人程度であること(ただし、この数値にはウイルスの特性による感染の広がりやすさだけでなく、人と人との関係性や距離感なども関係しています)。重症化の程度を見ると、インフルエンザや風邪よりもコロナのほうが高いようです。特に高齢者は重症化のリスクが高く、死に至らないまでも、重い後遺症が残るケースも報告されています。

 「コロナは単なる風邪と変わらない」といった楽観論も出始めています。「対策は不要だ」という誤った考えから、感染拡大を抑える行動をやめてしまう人が多くなると、感染拡大のスピードは一気に加速すると専門家は警鐘を鳴らしています。密な接触の頻度や場面のリスクを分析して点数化していくと、個人の感染リスクがある程度見えてきます。すでに点数化して注意喚起を行っている国もあると聞きますが、日本で普及するまでには今しばらく時間がかかりそうです。引き続き、コロナウイルスの流行は続くと思われますが、こうした知見をもとに、できるだけ感染リスクを下げる取組を行っていく必要があります。幸いなことに、これまで本校関係者に罹患した人はいません。凡事徹底という言葉を胸に、繰り返しになりますが、次のことを習慣化させてください。

 1つ目、「健康管理の徹底」です。

 毎日、朝と夕方、必ず自分の体温を測ってください。咳などの症状や体のだるさを感じたら、すぐに学校の先生や保護者の方に相談してください。

 2つ目、「マスク着用の徹底」です。

 学校生活の中ではマスクを着けることを徹底しましょう。特に、近距離での会話や発声を行う場面では、マスク着用を徹底しましょう。

 3つ目、「3密回避の徹底」です。

 握手やハイタッチ、近距離での会話など、密集・密接な場面をつくらないように意識しましょう。

 4つ目、「手洗いの徹底」です。

 石鹸を使って、こまめな手洗いを徹底させましょう。

 5つ目、「衛生管理の徹底」です。

 食事をする時以外はマスクを着けましょう。また、登校・帰宅後にも30秒以上時間をかけて石鹸でしっかり手を洗いましょう。

 この他、コロナ禍に係る誹謗・中傷・差別等の行動を絶対にとらないよう、人権感覚を研ぎ澄まして行動するようにお願いします。

 最後に、二学期を迎えるにあたっての心構えについてです。

 夏休み中、部活動においては、毎日の練習はもとより、例年とは違った形で行われた大会に全力で取り組んだ人が多かったと思います。もちろん、勝つことは大切ですが、負けることからも得ることもたくさんあります。「あの時こうしていれば・・・」「もっと練習ができていれば・・・」。厳しい状況下の中で、日々努力し続けた者だけがこうした課題に出会えるのだと思います。結果がどうであれ、必ずこれからの人生に活きるはずです。

 また、学習活動においても、家での学習だけでなく、大学や専門学校のオープンキャンパスやリモート説明会、補習授業への参加など、将来に向けてアクティブに行動していた人が多かったと聞いています。すぐに目に見える成果が出るとは限りませんし、成功のためには努力と失敗、そしてまた挑戦するためのタフな心が必要です。日米通算4,000本安打を達成したイチロー選手は、『いい結果を生んできたことを誇れる訳ではない。4,000本のヒットを打つために、8,000回以上は悔しい思いをしてきている。そのことと常に、自分なりに向き合ってきたことが事実なので、誇れるとしたらそこではないかと思う。』、という趣旨のコメントを残しています。

 どんなに努力をしても、勝てなくて負けることが、成功できず失敗することがあります。負けても、失敗しても、それを乗り越える努力と勇気、折れない心が必要なのです。勉強も、部活動も、やらなければ結果は出ません。いかに自分の夢に近づくか?そのために努力は必要なのです。皆さんには、夢の実現に向けて、力を蓄え発揮する。そんな二学期にして欲しいと思います。

 まだまだ厳しい残暑が続きます。健康に気を付け、自分の目標に向かって、自らを鍛えてください。例年より長い二学期が今日からスタートします。「高い志を持つ」「夢を持つ」こと、それに向けて努力し続けることを心がけてください。

 以上で、私の話を終わります。 

 

埼玉県立川越総合高等学校

校長 服部 修

戦後75年と「人間の安全保障」について

生徒の皆さんへ⑫

令和2年8月15日

 

戦後75年と「人間の安全保障」について

 

 1学期の終業式から2週間近く経過し、生徒の皆さんの中には部活動の大会や進路活動に汗をかいている人が多いと思います。暑さに負けず充実した毎日を過ごしているのではないでしょうか?

 8月4日(火)に行われた成績会議では成績優良者が100人を超え、一学期としては過去最高の人数でした。また、欠点保持者は27人と前年と比べて大幅に減りました。これまで誰も経験していないコロナ禍の中、緊張感をもって学校生活を送っていた皆さんの頑張りが、数字となって現れました。あらためて、生徒の皆さんに感謝の気持ちをお伝えします。

 今年は終戦75年の節目にあたります。75年前の昭和20年(1945年) 8月15日の正午、昭和天皇はラジオを通じて第2次世界大戦が終わったことを国民に伝えました。このことから、毎年8月15日の正午になると黙とうをし、第2次世界大戦で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、戦争を二度と起こさないことを誓います。夏の全国高等学校野球選手権大会では、毎年、甲子園球場で選手・観客らが1分間の黙とうを捧げて平和を誓います。

 戦禍を生き延びた人々は高齢化し、当時のことを知る人は減ってきています。健康への不安、薄れる記憶。私は終戦後20年近くたってから生まれた世代なので、戦争を体験していません。しかし、私が子供の頃、父からよく戦争の話を聞きました。空襲で空から焼夷弾という爆弾が雨のように落ちてきて必死で逃げたこと、学徒勤労動員により軍事工場で作業していた時にB29による爆撃を受け、大きな傷を負い生死をさまよったことなどを聞かされました。戦争はいけないことだ、平和が大事だと多くの人は言います。しかし、戦争中、または停戦中でありながらいつまた戦争が再開してもおかしくない国や地域が世界中にたくさんあります。戦争は決して過去のことではないのです。私たちは、絶後の体験をした人たちの思いを、しっかりと受け継いでいるのでしょうか?

 平和への思いを若い世代へ託そうと発信を続けている人もたくさんいます。まだ間に合います。人類が同じ苦しみを二度と繰り返さないためにも、戦争を知る人たちからのバトンを受け取り、我々自身が戦争と平和について正面から向き合い、考えていかなければならないのです。

 みなさんは「人間の安全保障(英語: Human Security)」という言葉を耳にしたことがありますか?

 人間の安全保障とは、人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え方です。1994年に国連開発計画(UNDP)「人間開発報告書」で提示されてから26年目を迎え、今、あらためて注目されています。この考え方は、「誰も取り残さない」「最後の人を最初に」とするSDGsの考え方と共通する要素を多く含んでいます。この概念は、ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・セン博士の「開発理論」に由来すると言われています。

 21世紀を生きる皆さんとともに、川越総合高校のこの先の100年を見据え、課題研究などの探求学習の機会にじっくり考えていきたいテーマです。