講話 ・ 式辞

2016年3月の記事一覧

卒業証書授与式 式辞

埼玉県立川越総合高等学校卒業証書授与式 校長式辞

 やわらかい日差しの中で、中院の桜の蕾も大きく膨らみ、桜前線の話題も気になり始める頃となりました。春の息吹に心弾む今日この頃ですが、それは同時に、旅立ちの季節でもあります。三年次生の皆さん、卒業おめでとうございます。三年間のそれぞれの思い出が、今まさに、頭の中で走馬灯のようにめぐっていることと思います。

 本日ここに、埼玉県立川越総合高等学校の卒業証書授与式が盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、ご列席の保護者の皆様方のお慶びは、如何ばかりかと拝察いたします。教職員一同、三年間にわたる皆様のご支援と御協力に感謝申し上げるとともに、心よりお慶び申し上げます。また、この良き日にご多忙の中、本校の卒業式にお時間を割いてご臨席を賜りましたご来賓の皆様には、生徒及び保護者の方々、そして教職員および本校関係者に成り変わりまして、衷心より御礼申し上げます。

  只今、卒業証書を授与されました二百三十四名の卒業生の皆さん、本日の晴れの日を迎えられたのは、皆さん自身の努力と共に、ご家族、友人、先生方、地域の方々などの、本当に多くの皆様の支えがあったことは、決して忘れないでください。それらの方々への、感謝の気持ちをしっかり持ち続けることが、明日からスタートする新たな社会で、新たに出会う人々との心の絆をより深くする源になるものと私は思っています。

  振り返ってみますと、皆さんが入学した平成二十五年。その年の九月に、二回目の東京オリンピックが五十六年ぶりとなる二0二0年に開催されることが決まりました。翌年の二十六年には、長い間研究がすすめられていたリニア新幹線の工事がようやく着工され、全く新たな交通機関の誕生が現実のものとなることになりました。そして昨年の二十七年は、戦後七十周年の節目の年となりましたが、平和な世の中がいつまで続くのか、なんとなく不安になる状況も多くみられるようになり、改めて、世界平和のための議論と意識の高まりが感じられました。また、皆さんがすぐに直面することですが、選挙の投票権が十八歳に引き下げられる選挙制度改革も行われました。まさに社会は、多様に、かつ急速に、また複雑に変化しています。夢膨らむ洋々たる未来と共に、先行き不透明で不安感を抱かざるを得ない状況の未来も、皆さんを待っています。だからこそ、皆さんがこれからの社会で、どんな意識で、何を感じ、何を考え、どんな決断と行動をするかが、極めて重要になるということを、ぜひ認識していただきたいと思います。

  そこで、昨年の十二月にノーベル物理学賞を受賞された、お隣の川越高校から、埼玉大学を卒業された「梶田孝明」先生と、ノーベル生理学・医学賞を受賞された「大村智」先生のことばをご紹介します。特に、お二人は、埼玉県とのゆかりが大変深いことから、県民栄誉賞を受賞されています。「梶田孝明」先生は、ノーベル賞受賞後に、国内で一般の方を対象とした初めての講演会を、出身地の東松山市で行いました。その中で、ご自身の中で何回かあった「人生を決めた瞬間」に触れられ、

「若い皆さんは、いつ本当に、人生を決めるような大切な出会いがあるかわからないので、広く目と心を開いて準備してください。」というお話をされて講演を結びました。また「大村智」先生は、県民栄誉賞の贈呈式の後に子供達に向けて「教わったことを鵜呑みにするのではなく、自分で新しいことを考える人材になってほしい。物を覚えるだけではだめだ。自分から知恵を出せる人になってください。」とメッセージを送られました。このお二人の先生の言葉は、素朴でわかりやすい表現ですが、自らの実体験の中で、世界の偉業を成し遂げた源を示している言葉だと、私は感じました。ノーベル賞受賞者のお二人の先生の言葉を、卒業される皆さんへのはなむけの言葉として、もう一度送ります。「人との出会いを、広く目と心を開いて大切に」し、「自分で考え、知恵を出せる人間になること」を強く皆さんに期待します。卒業生の皆さんが、川総生であったことの「誇り」を胸にひめ、健康に留意し、それぞれの目標に向かって精進、努力され、やがて美しい花を咲かせ、素晴らしい実を結ばれる人生を送ることを、念願しています。

  結びに、卒業生と共に、ご列席の皆様方に改めて御祝いと御礼を申し上げます。また、二0二0に、創立百周年を迎えるこの川越総合高校の良き理解者として、今後ともお力添えを頂けれは幸いでございます。そして、卒業生の皆さんが、今後益々活躍されますことを心よりご祈念致しまして、式辞と致します。

  平成二十八年三月十二日

              埼玉県立川越総合高等学校長    柿沼重信