養蚕資料室だより
令和4年度秋蚕「毛ぶるい」
昆虫は1年の内に 卵 ~ 成虫 のサイクルを複数回繰り返すものが多くおり、
この性質を多化性と言います。(例えばモンシロチョウなどは年6~7回も発生します)
蚕の場合は年3回の発生であり、飼育は、春・夏・秋の年3回可能です。
養蚕資料室では、そのうち春と秋の2回の飼育を行っています。
9月4・5日に孵化した蚕たちは数時間のうちに脱皮し、現在は2令幼虫となっています。
孵化したての幼虫は黒っぽく毛に覆われていますが、
脱皮をすると白くなり、小さくとも立派な蚕であることがわかります。
令和4年度春蚕 番外編
前回の記事で、繭を作り終えた蚕たちは冷凍されてしまいました。
また、本校では蚕の他にも鶏や小動物などたくさんの命を教材にしています。
なくなった命を悼むために、有志の生徒たちが動物慰霊碑を作ってくれました。
・蚕の大好きな桑の葉を供え、お花で装飾し、蚕たちの冥福を祈りました。
・植木鉢を台に、主にコンクリートで作りました。
令和4年度春蚕「繭かき」
蔟に移動し、繭を作り始めてから1週間程経過しました。
蚕たちは繭を作り終え、蛹となって眠っています。
蛹になった蚕たちは、残念ながら羽化することはありません。
羽化した成虫は外に出るために繭に穴をあけてしまい、繭が利用できなくなってしまいます。
また、繁殖させたとしても、そこからよい繭を作る個体は生まれてきません。
今日は完成した繭を蔟から外す「繭かき」の作業を行いました。
本来はこのあと繭を茹で、柔らかくして糸を取りますが
本校では冷凍後に乾燥させて保管しています。
・空になった蔟と繭を取る繭かき台
・冷凍された繭
川越工業高校デザイン科2年生が来校しました
養蚕資料室の見学に
お隣の川越工業高校デザイン科2年生の皆さんが
授業の時間を使って来てくださいました。
昨年の創立百周年記念式典で本校FFJ有志が発表した様子を動画で視聴してから
資料室に移動して見学しました。
部活動の交流以外にも
こうした学び合いの機会がさらに増えることを願っています。
令和4年度春蚕「上蔟」
大きく育った蚕たちは現在、繭を作る準備をしています。
時期が来ると今までいた桑の葉の敷かれた平カゴから繭を作りやすい場所へと移動させます。
質の良い繭を作らせるためには、人工的に作った蔟(まぶし)という繭づくりの場を用意します。
蚕はこの枠の中に入り、2~3日ほど糸を吐き続け繭を作ります。
・吊るされた蔟
・繭を作る蚕
令和4年度春蚕「蚕と病気」
養蚕資料室では現在500頭ほどの蚕を飼育していますが、
すべての蚕が無事健康に繭になれるわけではありません。
病気にかかったり、うまく成長できない個体も現れてしまいます。
「蚕は風で育てろ」と言われるほど換気が重要なのは、
狭いところに密集して飼育していることも理由の一つでしょう。
蚕の病気の一つに「卒倒病」というものがあります。
いわゆる昆虫の食中毒なのですが、
自然環境中に居るこの病気を引き起こす菌(バチルス・チューリンゲンシス)を選抜培養し、
イモムシ類に対する農薬として製剤化したものが「BT剤」と言われる有機農法対応の微生物農薬です。
(本校の野菜栽培でも使用しています。)
蚕の研究が様々なところで活かされていることがうかがえます。
・同時に生まれた普通の蚕と生育の悪い蚕(遅れ蚕)の比較
・本校で使用しているBT剤(ラベル中央上にBT水和剤と記載されています)
令和4年度春蚕「眠」
前回の記事からさらに脱皮を経て4令幼虫の蚕たちは、現在最後の脱皮前の
「眠」の状態になっています。
起きている間はクワの葉を食べ続ける蚕ですが、脱皮前の一定期間は食餌をやめ、
頭を持ち上げた独特のポーズで眠りにつきます。
(ぬいぐるみで「眠」の状態を再現)
眠が明けると脱皮をして、5令(終令)となり、蛹に向かってますます食餌量を増やします。
多くの鱗翅目(チョウやガの仲間)は終令の幼虫が全体の食餌量の8割を占めるほど大食らいです。
まさに、「寝る子は育つ」ですね。
すくすくと育って、良い繭を作ってくれることを願っています。
令和4年度春蚕「3令幼虫」
今年も養蚕資料室では養蚕を行っています。
5月12日(木)から始まった春蚕の飼育は、
26日(木)現在2回の脱皮を経て3令幼虫です。
そろそろ次の脱皮が始まりそうです。
本校は養蚕農家を育てるために開設された「蚕業学校」が起源であるため、
その頃の名残が至る所に残っています。
その代表が「校章」です。
蚕の餌となる「クワの葉」とそれを刈る「鎌」を組み合わせた形となっています。