講話 ・ 式辞

儀式等で お話しした内容を掲載いたします。

開校記念日について

 

開校記念日について

  明日の4月15日(木)は開校記念日です。本校は大正9(1920)年4月15日に開校し、今年で101年目を迎えます。「県立蚕業学校」として県立学校の中では10番目に設立され、「県立農蚕学校」「県立川越農蚕学校」と校名を変えながら、当時の輸出産業の花形であった生糸を生産する養蚕技術の振興・発展のために重要な役割を担ってきました。戦後の学制改革により、昭和23(1948)年には「県立川越農業高等学校」として広く農業教育を推進し、農業とその関連産業の育成・振興に大きく貢献してきました。平成8(1996)年に時代の進展に即応した総合学科を設置し、校名を現在の「県立川越総合高等学校」に改め、農業・家庭科目を主とした総合学科高校として新たな道を歩み出し、26年目を迎えます。卒業生は1万9千5百人を超え、皆さんのご家族にも卒業生や在校生がいるご家庭があると思います。まさに校訓に掲げる「真理と正義を愛し、勤労と責任を重んじる」教育を実践し、社会に有為な人材を多方面に多数輩出してきました。

 昨年(2020)創立100周年の節目を迎えましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、1月26日(火)に予定されていた記念式典を9月2日(木)に延期し、多くの方々が安心して参加できる式典を目指し仕切り直しすることとしました。本来なら、この3月に卒業していった総合学科第23期生を中心に、式典を盛大に挙行するはずでしたが、その機会を持つことができず、23期生は無念の思いを残しつつ卒業しました。在校生の皆さんには、その思い是非とも晴らしていただきたいと思います。生徒の皆さん一人ひとりが、開校記念日を機に気持ちを新たにし、今後とも、①豊かな感性を育み 、②謙虚さを持ちつつ自らを律し、③主体的に行動することに一層邁進し、 川総生としての誇りを抱きつつ、学業や部活動、学校行事を通して充実した高校生活を送ってもらえるよう期待しています。

 明日は休業日となります。母校の101年の歴史と伝統に感謝し、「広い視野を持ち、夢の実現に向けて学び続ける生徒」として、有意義にお過ごしください。

 

令和3年度 入学式 式辞

式 辞

 

 本日晴れて「県立川越総合高等学校」に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。すべての教職員とともに、皆さんの入学を心から歓迎いたします。そして、皆さんを今日まで育て、勉強を支えてこられたご家族をはじめ関係の方々にも、心よりお慶びを申し上げます。

入学式は、新入生の皆さんを歓迎する式典であるとともに、「この高校で学ぶ」意識を確認していただく機会でもあります。この記念すべき4月8日を、「今日この日から始まる、川越総合高校での高校生活を実りあるものにするぞ!」という宣言の日にしてもらいたいと思います。

 さて、本校は、大正9年4月、「県立蚕業学校」として創立され、「県立農蚕学校」、「県立川越農蚕学校」、と校名を変えながらも、当時の輸出産業の花形であった、生糸を生産する養蚕技術の振興・発展のため、大きな期待を受け重要な役割を担うとともに、その責任を果たしてまいりました。戦後の学制改革により、昭和23年には「県立川越農業高等学校」として、広く農業教育を推進し、農業とその関連産業の育成・振興に大きく貢献してきました。そして、平成8年には、時代の進展に対応した総合学科を設置し、校名を現在の「県立川越総合高等学校」に改め、「農業科目を主とした総合学科」として新たな道を歩みだし、今年で26年目、創立101年目を迎えます。卒業生も1万9千5百人を超え、まさに校訓に掲げられている「心理と正義を愛し、勤労と責任を重んじる」教育を実践し、社会に有為な人材を多方面に多数輩出してまいりました。

 ただ今、入学を許可しました新入生の皆さん。皆さんは、9年間の義務教育を終え、自分の意思で本校への進学を決意し、合格されました。川越総合高校は皆さんの入学を心から歓迎いたします。皆さんは、伝統ある本校で、そして、地元から深く愛されている本校で学べることに誇りを持ってください。今まさに、大きな希望と幾ばくかの不安を胸に、新たな学校生活を始める皆さんに、あらためて、学校とはどういうものか、お話ししたいと思います。

 学校は、学びあうところです。教科の勉強はもちろんですが、それ以外にも様々なことを、教職員から、また生徒どうしで学ぶことができます。本校には、いろいろな種類の、そして数多くの、学びの仕掛けがあります。皆さんは、それらの仕掛けに気付く人になっていただきたい。どうすれば仕掛けに気付く人になれるか。まずは、好奇心旺盛であること、そして、謙虚であること。世の中は学ぶべきものであふれていることを知っている人、そして、自分には足りないものがあることを自覚している人は、学びのチャンスをつかむことができます。学びのチャンスをつかむことができる人は、大きく成長するはずです。

  次に、学校は、小さな失敗や挫折を経験するところです。大人になってから初めて失敗をしたのでは、立ち直り方がわからず、前へ進めなくなってしまうかもしれません。学校の中で経験する小さな失敗や挫折を大切にしましょう。それらの経験は、きっと皆さんを、強くたくましい人にしてくれるはずです。ただ、皆さんは、失敗したとき、「ごめんなさい」ときちんと言うことができる人であって欲しい。学校は、皆さんの小さな失敗や挫折を見守り、支える存在でありたいと思っています。

 そして、学校は、互を認めあうところです。認めあうとは、決して、ぬるま湯のような関係であるということではありません。本校には、生徒・教職員あわせて800人近くの人たちがいます。それぞれ個性を持った人たちが、互いに切磋琢磨し、高め合う関係を築き上げていきます。まずは、皆さんが他者から尊重されるために、皆さん自身が他者を尊重するというところから始めましょう。互いに認めつつ、みんながレベルの高い居心地の良さを感じられる集団になりましょう。

 最後になりましたが、新入生のみなさんが、この川越総合高校で過ごす限られた時間を大切にしてください。そして、みなさんのその大切な時間を、私たち教職員も一緒に共有できることに深く感謝して、入学式の式辞といたします。

                         令和3年4月8日   

 埼玉県立川越総合高等学校 校長 服部 修

 

令和3年度 第1学期 始業式 講話

令和3年4月8日(木)

体育館にて

令和3年度第1学期始業式 講話

 

 皆さんおはようございます。中院の桜が葉桜になり、総合学科棟前のハナミズキが見ごろを迎えました。例年より早い春の訪れにウキウキした気分になります。このような中で新年度を迎えることができ、大変嬉しく思います。反面、コロナ禍の中での学校生活には息苦しさを感じる部分もありますが、あえて今日は感染症拡大防止対策の話を封印します。

 令和3年度最初の始業式を迎え、ここにいる473名全員が進級して一つ年次があがりました。おそらく、何らかの新しい決意をして登校してきた人も多いのではないかと推測します。最初に2・3年次生の皆さんにお願いしておきたいことがあります。今日の午後、総合学科第26期の入学生を迎えます。新入生の皆さんが早く学校に慣れるよう、先輩として思いやりの心を示してあげてください。何気ない細かな心遣いや気遣いは、きっと新入生には大きな励ましになると思います。そして、これから始まる川越総合高校での学校生活の送り方について、色々とアドバイスしてあげてください。よろしくお願いします。

 新たな年度を迎えるにあり、ここでは、学年別に必要と思う心構えについてお話ししたいと思います。

 2年次生の皆さん、目標をはっきりと定めて、その目標に向かって「挑戦」してください。毎日の授業を真剣に受けることはもちろんですが、各種資格試験に積極的にチャレンジしてください。資格は皆さんの主体的に学ぶ姿勢や態度を育て、必ず各自に対する評価に繋がります。2年次の過ごし方でほぼ進路の方向づけは決まってきます。大変重要な1年になります。部活動や課外活動でも中心的な活躍が期待され、忙しい一年になると思いますが、学習に、部活動に、全力で挑戦してください。

 3年次生の皆さんは最上級生になります。学習や部活動だけでなく、学校内外での挨拶、みだしなみ、自転車や公共交通機関での乗車マナーに至るまで、最上級生としてのふるまいが求められます。そして、新入生や新2次年生をリードしていってください。川総の伝統や校風を作り出す責任は最上級生である3年次生にあります。卒業していった23期生の先輩たちは立派な卒業式を終えました。そのバトンをしっかり引き継ぎ、今まで以上に全力で、何事にも挑戦する本校の伝統、校風を発展させてください。また、3年次生の皆さんは進路決定の時期を迎えます。そのことを強く意識して、何事にも全力で取り組むことを期待します。

 長い人生の中で必死に学ぶことができるのは高校時代だと思います。一生懸命に勉強した、努力した、その経験は大人になったとき、必ず活きてきます。それは全ての生徒の皆さんに共通しています。「挑戦すること」「創造すること」「継続すること」を生活の中心に据え、勉強、部活に全力投球してください。勉強でも部活動でも最高の準備、最高の成果を目指してください。中でも、不得手なものへの「挑戦」、苦手なものを克服する「挑戦」、未知なるものへの「挑戦」に果敢に取り組んでください。自分を変えるためには、「決意」や「想い」が必要です。この1年をどんな年にするのか、何をやり抜くのか「決意」し、「想い」を強く持ち、スタートし、「挑戦」してください。皆さん一人ひとりにとって、飛躍の一年、成長の一年になることを願い、第1学期始業式の挨拶とします。

 

令和2年度第3学期終業式 講話

校長講話(放送による)

令和3年3月24日(水)

 

令和2年度第3学期終業式 講話

 

 皆さんおはようございます。放送とは言いながら、今年度の最後にこうしてまた皆さんにお話しできることを幸せに思います。

 学年末考査、入試、球技大会と慌ただしい中で、新しい春の訪れを感じさせる毎日が続いています。穏やかな日和は穏やかな心を引き出し、穏やかな心を持った人々を引き付けてくれます。私も、川総で皆さんとともに歩んできた12か月の間に沢山のことを学びました。豊かな学びは、本校の落ち着いた雰囲気のおかげであると、この恵まれた環境に感謝の気持ちがこみ上げてきます。生徒の皆さんもこの一年よく頑張りました。この後の表彰でも披露させていただきますが、この度、国家資格である3級フラワー装飾技能士に合格した人が4名出ました。検定試験に向けた準備が十分に行えない中で、立派な成果を収めました。他の資格等についても、日々の努力を大きな成果に結びつけた人たちがいます。この場をお借りして、敬意を表します。

 さて、およそ2か月半にわたった首都圏(1都3県)の緊急事態宣言が21日に解除されました。ここ数日の感染状況を見る限り、県内では下げ止まりの状況が続いています。一方で、2カ月半続いた自粛要請に疲弊する人や、自粛に飽き飽きして、先週末には外出する人が増え、自粛の「お願い」に頼った感染対策には限界が見えてきました。今最も注意しなければならないのは、開放感によって人出が急激に増え、陽性者が急増するリバウンドです。陽性者が爆発的に増えてしまえば、再び感染対策を強化せざるを得なくなります。宣言の解除は、「すべての行動をコロナ前に戻して良い」ということを意味しているわけではありません。私たちはこれから先、新型コロナウイルスとどう付き合っていくべきなのか?ワクチンが行き渡るまでは、宣言が解除されても、しばらくの間は、私たちの生活が制約される状況が続くものと思われます。

 宣言の解除に伴い、政府は新型コロナウイルス対策の「基本的対処方針」を変更するとのことです。新たな対処方針では、「社会経済活動を継続しながら再度の感染拡大を防止するための取組を進める」としています。解除後も、飲食時の感染防止や、変異したウイルスの監視体制の強化、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、安全で迅速なワクチン接種、次の感染拡大に備えた医療体制の強化といった5つの柱を徹底し、感染の再拡大防止に全力を挙げるとの方針を、菅総理大臣が先週明らかにしています。 

 新型コロナウイルスが流行するこれまでの過程では、最初に歓楽街に出入りする人の間で陽性者が増え、家族間や高齢者施設で働く若い従業員などに感染が広がっていきました。そこからリスクの高い高齢者へと感染が広がることで、重症者が増えたのはご案内の通りです。できることは限られますが、もう一度基本に立ち返って、手洗い、手指消毒、食事の際の会話の禁止などの徹底について、御協力をお願いします。

 今日は、若者の政治参加について話しをします。

 福井県鯖江市役所にあるJK課は、地元の女子高生たちが中心となって、自由にアイデアを出し合いながら自分たちのまちを楽しむ、市民協働推進プロジェクトです。さまざまな市民・団体や地元企業、大学、地域メディアなどと連携・協力しながら活動を行っています。プロジェクトのそもそもの目的は、地域の活性化。8年前に行われた大人版地域活性化プランコンテストで、「地域や社会に文化的な影響を与え、鋭く観察している女子高校生を主役に、まちづくり活動をしたらどうか」と提案されたのがきっかけです。8年経過した今、市の担当者が一番感じていることは、若者の声を受けてまちや大人が変わったこと、若者自身の意識に変化が見られたということ。これまで、女子高校生の発想から、図書館の空き机がわかるアプリの開発、スイーツ商品の企画、ハロウィンに仮装してごみ拾いを行なう「ピカピカプラン」などを実施しました。事業化に際し、アプリ開発ではIT企業、スイーツ企画では市内のパティシエグループなど、地元の企業や団体、ボランティアグループが次々と名乗りを上げました。

 こうして、自分たちの働きかけでまちが変化するのを目の当たりにするうちに、次第に女子高校生自身の意識に変化が生まれました。最大の変化は、「他人事」だったまちづくりを「自分事」として捉えるようになったこと。自分たちが動けば、まちや大人が変わると実感したことで、当事者意識が生まれてきました。

 今年は10月21日の任期満了に伴う衆議院議員総選挙が予定されていますが、5年前から選挙権年齢が18才以上に引き下げられ、一部の2年次生は国政選挙の有権者となります。自分の暮らしている地域や日本・世界の未来について考え、国家・社会の責任ある形成者として、主体的に社会に参画していく事が求められます。今後、皆さんには労働知識や政治的教養を含めた、大人としての常識をしっかり身につけていただき、困難に立ち向かって欲しいと願っています。

 4月からスタートする令和3年度も新型コロナウイルスとの戦いが続くでしょう。あえて「0ロコロナ」とか、「コロナに打ち勝つ」という言葉は使いません。目の前にある困難を一つずつ乗り越えて、これまで以上に素晴らしい川総を、皆さんとともに創っていきましょう。

 一年間ありがとうございました。以上で講話を終わります。

卒業式 式辞

卒業式 式辞

  

 春の息吹が感じられる今日この佳き日、令和2年度第23回卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、私たち教職員及び在校生にとって大きな喜びであります。本日晴れの日を迎えられた234名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 保護者の皆様におかれましては、お子様の成長された今日の姿に感慨も一入のことと存じます。ご卒業をお慶び申し上げますとともに、これまで私どもが賜りましたご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

  さて、卒業生の皆さんが進むこれからの社会は、コロナ禍の影響もありこれまで以上に変化の著しいものとなるでしょう。「十年一昔」は死語となり、日々情報に溢れ、世にいう常識が瞬く間に変わってしまう、激しい変革に戸惑うことが多くなると思われます。また、AI(人工知能)が凌駕し、人間の尊厳が脅かされるような場面も出てくるかもしれません。そんな時、本校での学びを存分に発揮し、焦らず、慌てず、挫けずに、地に足の着いた実践を心掛けてください。本校で着実に学びを重ね、成長を遂げた皆さんのことです。これからの社会が求める人材に相応しく、次代を担う実践者となってくれるものと確信しています。 

 卒業生の皆さんにこうしてお話しするのは今日が最後の機会となります。是非この場でお伝えしたいことが2つあります。 

 1つ目は、人格形成の自覚についてです。一般的に、我々の人格は、概ね20年で完成すると言われています。私事で恐縮ですが、幼馴染や学生時代からの友人が集まると、良くも悪くも、昔のままの姿がそこにはあります。つまり、人間の人格は20年前後で完成され、その後の経験から多少の知恵は身に着けたとしても、その本質は大きく変わらないということです。人格とは人柄、他人に対する思いやりや物事を謙虚に受け止められる資質は、自分の可能性を大きく広げ、一方で、言い訳や他人の悪口を重ねるような言動は社会のなかで受け入れられる要素は微塵もありません。この3年間、多様な人間関係のなかで皆さんが学んだことは、一人ひとりの人格形成に大きな影響を与えているはずです。まずそのことを認識し、さらに卒業後の2~3年が人生を送るうえでの基盤を作る最も重要な時期だということをしっかりと自覚し、本校を巣立ってもらいたいと思います。

 2つ目は、物事を成そうとする強い想いと志についてです。一昨年ノーベル化学賞を受賞された、リチウムイオン電池の産みの親でもある 吉野 彰 さん(旭化成株式会社名誉フェロー)は、「ムダなことをたくさんしないと、新しいことは生まれてこない。」という言葉を若者に向けて発言されています。4月から職に就く人、進学して新たな環境で学ぶ人、海外での活躍を夢見てコロナ禍の終息を待つ人。234名の進路は多種多様です。どうか皆さんには、何事にも興味・関心を持つ姿勢を忘れず、自らの可能性を拡げ、「夢の実現」に向けてたゆまぬ努力をし、必ずや自己実現を果たして欲しいと思います。

 結びに、卒業生の皆さんの今後のご活躍を祈念して、式辞とさせていただきます。

 

    令和3年3月13日

 埼玉県立川越総合高等学校 校⾧ 服部 修

 

震災から10年 今私たちにできること

生徒の皆さんへ

令和3年3月1日

 

震災から10年 今私たちにできること

 

 令和3年度入試のため臨時休業中の生徒の皆さん、どのようにお過ごしでしょうか?

 これまで新型コロナウイルスの感染拡大防止にご協力いただき、本校では感染拡大により痛手を被ることなどなく教育活動を進めることができました。1・2年次生の学年末考査が終わり、3年次生の登校も卒業式の予行と本番を残すのみとなりました。この場をお借りして、あらためて感謝の気持ちをお伝えします。

 さて、2011年3月11日に起きた「東日本大震災」から10年がたとうとしています。関連死を含め2万2千人以上が犠牲になった被災地では、土地の造成や住宅建設などハード面の整備がほぼ完了しました。しかしながら、コミュニティーの再生や被災者の心のケアなど、課題は今なお山積しています。特に、東京電力福島第1原発事故で放射能に汚染された福島県では、住民の帰還が思うように進んでいません。約3万7千人がいまだに避難生活を続けています。そうした被災地への人々の関心は、かつてと比べ薄れてきているように感じられます。しかも、昨年からは新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、他の問題は陰に隠れがちです。本校でも、震災直後から9年間続けてきたボランティア活動を、今年は止む無く中断しています。このまま震災の記憶の風化が加速してしまうのではないか?そんな危機感を個人的に持っています。

 内閣府の「社会意識に関する世論調査」によると、震災後には「何か社会のために役立ちたい」と思っていた人の割合が上昇したそうです。とりわけ20代は、前年から10ポイント以上増えて70%に達しました。しかし、その後は全体的に減少傾向に転じ、昨年には20代も震災前の水準に戻ってしまいました。背景には、この10年間で格差社会が広がり、他人を思いやる余裕がなくなってしまったという深刻な状況があります。コロナ禍の今、私たちが直面している新たな問題に通じるものがあると感じます。感染者や医療従事者に対する差別や偏見がなくならないのも、日本社会が劣化している現れといえるのかもしれません。

 そうした中でも、被災地の多くのまちでは、震災の記憶を伝える活動を続けている人たちがいます。被災地の課題は、人口減少が進む日本の他の地域に共通するものでもあります。ともに知恵を巡らすことは、被災地への支援になるだけでなく、自分自身の問題解決にも結びつくはずです。我々はこの10年間を客観的に振り返るとともに、被災地の今に目を向け、新たなつながりを育むきっかけづくりをしていかなければなりません。

 そこで皆さんに情報提供です。

 日本科学未来館(東京都・お台場)では、3月6日(土)から28日(日)まで、特別企画「震災と未来」展 ~東日本大震災10年~ を開催します。また、震災を忘れず教訓を未来へ伝えるため、「震災の記憶」、「その後の人々が生んだ絆」、「未来への課題」の3つをテーマに掲げ、NHKが記録・蓄積してきた映像や資料をさまざまなプレゼンテーションで振り返るほか、震災・復興にまつわるストーリーをもった品々の展示を通じて復興への取組と課題、また今後の災害に対する備えなどを紹介します。

 本年度被災地に赴くことができなかった生徒の皆さんには、是非とも学びを拡げ、深める機会にしてほしいと思います。

 

展覧会公式サイト:https://www.nhk.or.jp/event/art2020/

緊急事態宣言再発令に伴う本校の対応について

校長講話(放送による)

令和3年1月14日(木)

 

緊急事態宣言再発令に伴う本校の対応について

 

 おはようございます。朝のSHRの時間をいただき、新型コロナウイルス感染拡大に伴う対応についてお話しさせてください。3分ほど時間をいただきます。

 昨日菅首相が、新たに大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県に緊急事態宣言を発令し、三大都市圏を含む11都府県に対象を広げ、併せて中国や韓国など11か国からの入国を規制するとの発表を行いました。また、学校や保育所には休業を求めず、感染防止対策の徹底を再度要請しました。このことを受け、本日付けで保護者宛通知を発出し、今後の学校運営に係るお願いをさせていただきます。

1.本校では、感染防止対策を徹底しながら教育活動を継続します。

2.登下校時の三密回避のため、2月5日(金)まで始業時間を1時間繰り下げ9時40分とします。

3.短縮40分授業を、2月5日(金)まで継続します。

4.2月7日(日)まで、部活動を原則中止とします。

5.学校生活においも、感染防止対策の徹底を心掛け行動してください。

 ・手洗い、うがいの励行、ソーシャルディスタンスの保持

 ・マスク着用の徹底

 ・昼食時に飛沫感染を防止する対応の強化(一人で食べる・会話しない・飲み物、タオル等の共有をしない)

   ⇒ 教員が監視するようなことはしたくない

6.不要不急の外出を控え、感染防止対策と健康観察の徹底

をご家庭にも再度お願いします。

 

 次に学校行事についてです。

1.1月26日(火)に予定していた、創立百周年記念式典は再度延期します。

 特に、3年次生の在学中に実施することが厳しい状況にあり、夏以降、オリンピック終了後に挙行出来るよう仕切り直しします。式典を楽しみにしていた人たちには、大変申し訳なく思っております。

2.次に、3月下旬に予定していた2年次生の修学旅行を、6月に再度延期します。

 併せて、学年保護者会も4月以降に延期します。生徒の皆さんからは修学旅行を心待ちにしているとの声を複数いただいていることから、安心・安全な修学旅行が実施できるようになるまで、もう少し我慢してください。

3.3年次生を送る会や卒業式については、感染防止対策がどれだけ徹底できるのかを含め、実施について現在検討しています。

  

 最後に授業についてです。

 緊急事態宣言の再発令に伴い、県のガイドラインが改訂されました。これまで実施していた実験や実習、合唱や合奏など感染リスクが高いとされる活動については制限がかかります。先生方もどのようにすれば皆さんにとって教育効果の高い授業になるのか悩み苦しんでいます。どうかご理解とご協力をお願いします。

 

 むすびに、伊集院 静 という作家が成人を迎えた若者に発したメッセージの一部を紹介します。「今は、少し辛いが、必ず笑える日はやってくる。まぶしい光が差す時が来る。それを信じて歩き続けよう。自分のためだけではなく、誰かのために!それが人間の品格だ。品格だ。コロナの中の新成人諸君、情熱を信じて胸を張れ。」

 以上です。

 

令和3年度第3学期始業式 講話

校長講話(リモートによる)

令和3年1月8日(金)

 

令和3年度第3学期始業式 講話

 

 明けましておめでとうございます。

 皆さんは健やかに新春を迎え、心身ともにしっかりリフレッシュできたものと思います。

 また、年末年始の期間中においても、我々の生活を支える業務などに従事されている医療従事者を始めとするエッセンシャルワーカーの皆さん、さらには、新型コロナウイルスへの対応で、休みを返上して御尽力いただいている多くの方々に、心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

 今年の干支の丑(うし)は、十二支の2番目であることから、子(ね)年に蒔(ま)いた種が芽を出して成長する時期とされています。

 また、「牛」は古くから肉用牛、乳牛、耕牛(田畑を耕す牛)と呼ばれ、酪農や農業で人々を助けてくれる大切な動物です。 

 大変な作業を最後までこなす働きぶりから、丑年は「我慢」を表す年とも言われています。

 そのことから、丑年は、先を急がず目の前のことを着実に進めることが「将来の成功につながる」とされています。

 コロナの収束が見通せず、当面「我慢の年」になるかもしれませんが、皆さんにはコロナ禍だからこそネガティブにならず、自身の可能性や感性を大切にしてポジティブに物事を捉え、目標に向かって前に進んで行って欲しいと思います。

 皆さんの将来には無限の可能性があります。その可能性を現実のものとするために、自分の頭で考え、自力で自由に大空を飛びまっているかのように俯瞰的に物事が見られる人間に、そんな力を身に付けて欲しいと思います。

 

 さて、今日は3点、お話しさせていただきます。

 

 1点目は「今年の目標」についてです。

 皆さんはすでに今年の目標を定めたでしょうか。「1日の計は朝にあり、1年の計は元旦にあり」という言葉があり、新たな年の初めに目標やめあてを持つことが、その年を充実させるためには重要です。

 目標を達成するための方法は「スモールステップ」をコツコツと積み重ねることです。小さな成功体験が一つずつ積み重なって、最終目標の実現がより具体的になっていきます。

「毎日が新記録」「自己ベストの更新」を目指すことが大切です。以前も書きましたが、現役大リーガーの大谷選手が取り組んで有名になった目標達成シート「マンダラチャート」などを参考にして、スモールステップをコツコツと積み重ねていってください。

 

 2点目は、「伝統的な食文化の継承」についてです。

 日本には季節の移り変わりとともに、その季節にとれる旬のものを食べる習慣があります。正月三が日にはおせち料理を、昨日は七草粥を食べた人もこの中にいると思います。

 「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」。この七種類の野菜を入れて炊いた粥を食べて、「病気にならないように、災難に遭わないように」と神様にお願いします。

 正月三が日に食べ過ぎたり飲みすぎたりして疲れた胃を休め、冬の野菜不足を補うために七草粥を食べるとも言われています。

 現在は、加工技術や冷蔵技術の進歩により季節に関係なく何でも食べられる状況にあり、季節感がなくなってしまったといれます。

 皆さんが普段食べている和食、日本人が育んできた大切な食文化をあらためて見つめなおし、優れたものを次の世代に継承し、世界に発信していって欲しいと思います。食について学ぶ機会の多い川総生には、是非とも持ち続けていただきたい視点です。

 

 最後に、昨日発令された緊急事態宣言についてです。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県を対象に、特別措置法に基づく緊急事態宣言が政府より発令されました。期間は今日から2月7日までの一か月間。菅首相は記者会見で不要不急の外出自粛などを国民に呼びかけました。

 生徒の皆さんに今できることは、各自が「感染しない、感染させない」をモットーに、引き続き日々の健康観察と手洗いの励行、飛沫感染を防ぐため三密を避けるとともに、部屋の換気を徹底する、特に食事中などはマスクなしで会話する場面をなくすことを心がけてください。

 2021年、令和3年は社会全体でコロナを克服し、その中から数々のイノベーションが生まれ、希望に満ちた年になることを祈念しています。

 

 以上で講話を終わります。

 

令和2年度第2学期終業式 講話

校長講話(放送による)

令和2年12月24日(木)

 

令和2年度第2学期終業式 講話

 

 はじめに、21日から行われていた「総芸祭」の企画、準備、運営に当たってくれた生徒会本部役員を中心とする生徒の皆さん。お疲れ様でした。限られた条件下でのパフィーマンスでしたが、このような機会を持つことができたことに、心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 今日は、三つの話しをさせてください。

 一つ目は、一昨日行われた成績会議についてです。

 今年はコロナ禍の中で例年より長い2学期を過ごしました。学校全体の成績優良者は96人(13.5%)、欠点保持者は43人(6.0%)。1学期と比べて成績優良者は11人減り、欠点保持者は16人増えました。努力をして良い結果を残した生徒がいる反面、「どうしてこんな状況になるの?」と残念に思う場面が、学期後半にありました。成績不良者に欠点が付いた背景には、①遅刻・欠席が多い、②課題などの提出物を出してない、③考査に向けて十分な勉強をしていない、などの気のゆるみがあります。大変もったいないことだと思います。3学期は、皆さんの力でしっかりと締めくくってください。

 二つ目は「犬と私の10の約束」という映画の話しです。

 3年次生と昼休みに面談をしていて、動物好きで、将来動物とかかわる仕事に就きたいと考えている生徒が多いことに驚かされました。1・2年次生の中にも、動物のことを学ぶために飼育関係の授業を選択しようと考えている人がいると思います。私の家には愛犬がいて、朝の散歩は私の仕事です。映画の内容を簡単に説明すると、あるお母さんが病気で入院したことをきっかけに14歳になる主人公の少女は子犬を飼うことになります。その時お母さんから犬を飼うときの10の約束を教えてもらいます。その後間もなくお母さんは亡くなり、その悲しみを乗り越えて犬と一緒に成長する少女の様子が描かれています。

 犬との約束は次の10個です。犬や他のペットを飼っている人は、そのペットを想像しながら聞いてください。

① 私と気長につきあってください。

② 私を信じてください。それだけで私は幸せです。

③ 私にも心があることを忘れないでください。

④ 言うことをきかないときは理由があります。

⑤ 私にたくさん話しかけてください。

   人のことばは話せないけど、わかっています。

⑥ 私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。

➆ 私が年を取っても、仲良くしてください。

⑧ 私は十年くらいしか生きられません。

   だからできるだけ私と一緒にいてください。

⑨ あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。

⑩ 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。

   どうか覚えていてください。私がずっとあなたを愛していたことを。

  どれも意味深い約束ですね。

 犬の立場から、飼い主にしてほしいと願う事柄を列挙した作者不詳の短篇詩「犬の十戒」をヒントに生まれたのが、「犬と私の10の約束」という物語です。

 かわいい子犬に夢中になり、はじめは約束を守っていた主人公ですが、年を重ね、仕事や恋に忙しくなり、「犬がいると旅行にも行けない」といって、犬に対して冷たく当たるようになります。ありがちな話です。

 しかし、この犬を久しぶりに抱き上げてみると、体は小さく、軽くなっていることに主人公は気づきました。この時、母との約束を思い出し、犬と一緒にいられる時間が残り少なくなっていることを悟るのです。犬が亡くなるときに、主人公はこの約束が守れていたかどうかを振り返ります。そして、もっと大切にしてあげればよかったと後悔するのです。

 この映画のように、私たちは長い時間一緒に生活していると、その状況が永遠に続くものと錯覚しがちです。しかし、そのようなことは実際にはあり得ないのです。犬や他のペットだけでなく、人の場合も同じです。どんなに大切な人ともいつかはお別れする時が来きます。この中にも、今年大切な人を亡くされ人がいると思います。今の状況を当たり前と思わずに、自分を支えてくれている人やものに対して、感謝の気持ちを持ち続ける人間でありたいものです。

 最後に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う皆さんへのお願いです。

 新型コロナウイルスの新規感染者は昨日午後10時の段階で3,267人。このうち埼玉県では230人。いずれも過去最多を更新しました。22日の生徒会役員補欠選挙の際にもお話ししましたが、①不要不急の外出を控えること、②手指消毒やマスクの着用、三密を避けるなどの感染防止対策を徹底すること、③飲食や発声を伴う場面での感染リスクが高いことから、そのような場面では細心の注意を払うこと、を改めてお願いします。

 また、感染拡大を抑えるためには、人の移動を止めることが最も有効な手段であることから、部活動については明日25日から1月17日(日)まで停止。授業等については1月8日(金)の始業式から15日(金)までの期間登校時刻を一時間繰り下げるとともに、40分の短縮授業を実施します。詳細については、この後担任の先生が通知を使って説明します。

 埼玉県として慎重に現状分析を行った上で、昨日行われた新型コロナウイルス対策本部会議での決定です。皆さんには我慢を強いるばかりで大変申し訳ないのですが、感染拡大に伴い苦しむ人たちをこれ以上出さないために、ご理解とご協力をお願いします。

 長くなりました。皆さん一人一人が今何をなすべきか、どう行動することが社会や学校、家族や自分のためになるのか。直面する現実と向き合い、考えてみてください。

 早いもので、今年もあと1週間で終わります。健康に留意し、どうかよいお年をお迎えください。

 

参考

「犬と私の10の約束」

平成20年(2008年)3月公開 原作:川口 晴「犬と私の10の約束」文春文庫

 

防災避難訓練を終えて

校長講話(放送による)

令和2年12月23日(水)

 

防災避難訓練を終えて

はじめに

 今日の訓練に、皆さんはどのような意識を持って参加しましたか?

 9年前の3月に発生した東日本大震災以降、火山の噴火や地殻変動など、地球規模で大きな自然災害が多発しています。また、異常気象に起因する大型台風やゲリラ豪雨、干ばつや森林火災、竜巻や季節外れの大雪など、私たちの暮らしを豊かにしてくれるはずの自然が突然牙をむく。これまでの経験が通用しない事態が、世界各地で起こっています。

 防災避難訓練は、予想もしない事態が起きた時のことを想定し、あらかじめ体験しておく大切な学習活動です。

1 地震発生時に取るべき行動

 地震が起きた際には、慌てない、身の安全を確保する。この二つが最も大切です。緊急地震速報や揺れを感じたら、①ドロップ:まずは姿勢を低くする、②カバー:頭を守る、③ホールドオン:動かない。地震の揺れはそう長く続きません。右往左往したり、SNSに憶測で不確かな情報を書き込んだりせずに、まずは身の安全を確保し、揺れが収まったら周囲の安全を確認し、冷静に次の行動、避難をしてください。

この、「ドロップ、カバー、ホールドオン」の訓練は、「シェイクアウト」と呼ばれ、世界中で行われています。

2 火災発生時に取るべき行動

 火災発生時には、「通報」「初期消火」「避難」の順に行動することが基本です。しかし、状況によっては優先順位が異なりますので、逃げ遅れないように冷静な判断を心がけましょう。

 次に、安全に非難するための7つのポイントです。①天井に火が燃え移ったら即避難、②高齢者、子ども、病人を優先する、③服装などにこだわらずできるだけ早く非難する、④ためらいは禁物、一気に走り抜ける、⑤煙の中を逃げる時にはできるだけ姿勢を低くする、⑥いったん逃げ出したら、再び中には戻らない、⑦逃げ遅れた人がいたら消防隊にすぐ知らせる。

 もしもの時の備えとして、心の片隅にインプットしておいてください。

おわりに

 今回の訓練は地震発生から火災の発生までを想定したものでしたが、これまでに起こった災害の教訓を大切にして、危機管理能力をさらに高めてください。毎年のように大規模災害が発生する昨今、いつ県内で災害が発生してもおかしくありません。新型コロナウイルスの感染リスクに向き合わねばならない今だからこそ、事前の備えを怠らないようにしていきましょう。

東日本大震災

 2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害及びこれに伴う福島第一原子力発電所事故に起因する災害でした。東日本各地での大きな揺れや大津波、火災等により、12都道県で2万2千人余の死者(震災関連死を含む)が出ました。多くの行方不明者が発生し、これは明治以降の日本の地震被害としては関東大震災、明治三陸地震に次ぐ規模となりました。沿岸部の街を津波が破壊し尽くす様子や、福島第一原子力発電所におけるメルトダウン発生は、地球規模で大きな衝撃を与えました。本校では震災直後からボランティア活動を開始し、毎年生徒有志が被災地を訪れ、「微力だけども無力ではない」を合言葉に奉仕活動を行っています。